2009年1月16日金曜日

品質原価計算について

 品質原価計算の「品質」とは,設計品質と適合性品質とに分けられる。設計品質は製品が顧客のニーズに適合していることをいい,適合性品質は製品が「設計仕様」に合致していることをいう。適合性品質が製造品質ともいわれるのはそのためである。設計品質は顧客のニーズに合った製品を供給するということで之は設計段階で行われる。
 新製品のパソコンを投入する場合,市場の動向などをかんがみて企業では設計していく。VISTAをもっと快適に動かすためにはメモリを4Gにして,ブルーレイも搭載して…と設計段階で顧客ニーズに応えようとして,その結果,顧客ニーズとのズレがなければ設計品質には問題がなかったことになるが,もし問題が発生したのであれば設計品質に問題が生じたことになる。また,設計図にしたがって工場で加工作業をして,設計図どおりに完成しなければ適合性品質に問題が発生するということになる。現時点では適合性品質に焦点が当てられており,①予防原価②評価原価(最終工程における品質管理など)③内部失敗原価(企業内部で発見された仕損品など)④外部失敗原価(出荷した後に発見される初期不良など)が例としてあげられよう。ただしいずれも貨幣的評価が非常に難しく,しかも現場では「失敗」をなるべく認めたくないというインセンティブが働くため,原価管理目的だけではなかなか品質原価計算が機能しないのではないかという懸念がある。

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