2008年2月7日木曜日

第116回日本商工会議所簿記検定3級

1(1)かねて振り出した為替手形がまた手許に戻ってきたケースが扱われている。この場合、名宛人に対して手形債権を有することになるので受取手形勘定で処理するわけだが、そこまで読み取れたかどうか。自己受為替手形や自己宛為替手形と勘違いした受験生も多かったかもしれない。

(2)典型的な固定資産の購入で未払金の問題。これは定番だろう。

(3)仮受金の内容が売掛金と前受金だった…という債権・最無関係の勘定科目の理解が試される問題。かなりいい問題ではないかと思われる。

(4)貸倒引当金が不足した場合にどうするか…ということでこれも典型論点。

(5)売買目的有価証券の売買の仕訳。取得原価に付随費用を加算するという基本が試されている。仕訳問題としては(1)がちょっと「ひねり」があるが、5問のうち4問が基礎的レベル。これは14点としても16点は確実にゲットしたいところだ。

2

 補助元帳として商品有高帳と仕入先元帳を使用し、さらにそれぞれの補助元帳の「前月繰越」が条件として設定されているケースだ。仕入先元帳には人名勘定を設定していない商店からも仕入取引があるのが「面白い」。基本的に前月繰越が明示されているので、月中の取引を丹念に仕訳して仕入先元帳に集計すれば、人名勘定の月末残高は算出できる。全部で8つの取引しかないのでさほどの手間ではなく、(1)に書いた仕訳をもとに仕入勘定を作成すれば(2)の純仕入高もすんなりもとまる。だが(3)の商品有高帳がやや面倒なように見えて、すべて商品別の仕入取引なので単価と個数のみを記入した簡単な商品有高帳を作成すれば払出欄に記入されるべき「売上原価」はすぐ出せる。問題2は下書用紙に仕入先元帳や商品有高帳をいかにコンパクトにまとめるかがポイントであろう。これをあまり詳細にメモしていくと正解は確実に出せるが時間が余計にかかるのは必定。商品有高帳や先入先出法の「本質」をとらえていれば5分もあれば地道な下書きだけで正解は出せるだろう。ただしパターン学習で「本質」を見失っているとわけのわからない方向にいってしまって時間の浪費につながる可能性も。あとまたこの手の問題は設問から先に読んで集計すべきデータを最初から意識しておくというのもテクニックの一つだろう。

問3

 月初の残高試算表から月中取引を考慮して月末の残高試算表を作成するという定番問題。既に論点は出尽くした感じもあるが、勘定科目ごとにダイレクトに転記していくほうが仕訳処理を全部書いてとくよりも実践的かもしれない。これはやはり仕訳能力の問題(集計能力の問題)だが、手形債権・手形債務・裏書譲渡といった用語を的確に理解していればさして仕訳処理で悩むことはないと思われる。

4

訂正仕訳の問題。(1)が償却債権取立益がらみで(2)が固定資産の売却。「取引記録の全部」ではなく、「記録の誤りを部分的に修正する方法による」という条件設定が目新しいぐらいか。

5

 やはりというべきか精算表の問題でしかも易しい。「毎年同額を支払う」という期首再振替仕訳を考慮しなくてはならない見越し・繰延もさして難しくは感じなくなってきた。「取引先振り出しの」から現金勘定を導出したり、仮払金の処理と備品の期中購入をからめるあたりが新しい感じで、さらに途中取得した備品については原価償却費の計算も考慮する必要がある。ただし定率法では難しすぎると判断したのか、固定資産についてはいずれも定額法だ。消耗品の費用法処理が出題されていたがこれは資産処理とあわせて学習を固めておく分野になるだろう。これまで決算整理仕訳は同じ勘定科目には「かぶさらない」などという俗説があったがこの問題では受取手数料勘定について借方と貸方に決算整理仕訳が記入される。かくして「俗説」はどんどん「打破」されていくということに…。

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