2008年3月5日水曜日

第117回日本商工会議所簿記検定2級

1

 ほとんどが定番の問題だが久方ぶりに割引手形の不渡りの問題が出題。法定利息を不渡手形勘定に含めて処理する点だけに注意すれば容易に解答。また受託買付については、立替金や前受金などの代わりに受託買付勘定を用いることに気が付けば委託販売や受託販売と同様に処理が可能。消費税については税抜方式が出題。実務を反映して仮受消費税が仮払消費税を上回る形式なのでさほど難しくはないだろう。固定資産の売却については生産高比例法の条件がやや面倒だが、その計算さえ確実にこなせば仕訳処理は容易。委託販売のでの積送品の送付と荷為替の取り組みも基本中の基本なので5問中5問もしくは4問は得点しておきたいところか。ただし委託販売については積送品の送付だけとかあるいは荷為替の取り組みだけという仕訳問題ではなく、両者が複合化しているのでそれが難しいといえるかもしれない。

2

 特殊仕訳帳から取引を推定して残高試算表を作成するというクラシックな出題。しかし受取手形の割引(一部当座取引)が当座預金出納帳では受取手形欄が設置されており、注意していないと特別欄をそのまま合計転記してしまうというトラップが目新しい。一部当座取引の場合には借方や貸方を問わず当座預金勘定とともに同じ側に別の勘定科目が生じる取引となり、当座預金勘定以外は普通仕訳帳からの個別転記となる。これが大原則だから特別欄を設置していても一部当座取引の個別転記の原則はもちろん貫かれるのだろうが…。そして一部当座取引については、手形の割引以外の典型的論点(たとえば固定資産や有価証券の売却や給料の支払い、金銭の借入など)では一部当座取引がないというのもパターンをはずした出題といえるかもしれない。売買目的有価証券の売却についてはすべて当座預金出納帳からの個別転記だし、給料の支払いも現金出納帳からの個別転記、借入金の返済も現金出納帳からの個別転記で、一部当座取引は、受取手形の割引のみ。そして一部現金取引が固定資産の売却にからんで一つという構成で、かなり変則的な特殊仕訳帳の問題ともいえる。給料の一部現金取引などがあるとかなり難しくなる可能性もあるのでそこを懸念して一部当座取引の数を減らしたのかもしれない。

3

 本支店会計の決算整理前残高試算表から未達取引を整理して、空欄を推定する問題と、決算整理後・未達事項整理後の売上総利益を算定する問題。さして難しい問題ではないのだが、未達事項の仕訳処理で一つでも間違えると大きな痛手をこうむるという構造問題。内部利益も一応期末商品のみ考慮に入れざるを得ないが基本的には満点を狙えるレベルの易しい問題といえるだろう。

第4問

 個別原価計算のやや難しい問題。総合原価計算はボックス図もしくはワークシートを作成すればほとんど解けない問題はないが、個別原価計算は丹念に原価計算表を作成してデータを整理していくのが早道だ。個別原価計算と総合原価計算の違いを最初から認識して解き方を分けていけば解答には割りと早くたどりつけたはずだが、最初からボックス図を書いてしまうとおそらく正解からは程遠い結果となる。

5

 直接原価計算の標準的な問題だが割り切れない数字と安全余裕率の数式を忘れてしまっている場合には致命的な失点となる。現在の売上高がどれだけ「安全なのか」を判断する指標が安全余裕率という認識があれば数値が割り切れなくても動揺することは少ないかもしれない。在庫がないというデータはおそらく仕掛品も含めて在庫がないという意味に理解するべきなのだろう。

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