2008年8月10日日曜日

原価の部門別原価計算

 原価計算基準に著述されている目的のうち、大別してしまうと「財務会計」と「管理会計」というわけ方もできる。部門別原価計算の場合、「財務会計」的な目的のために「製品原価の正確な計算」、「管理会計」的な目的のために「原価管理」といった考え方もできるだろう。原価計算基準では基準15にて原価の部門別計算の意義が述べられており、基準16に「原価部門の設定」としてその内容が詳述される。「原価部門とは、原価の発生を機能別、責任区分別に管理するとともに製品原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいい、これを諸製造部門と諸補助部門とに分ける」(16)。機能別・責任区分別ということは、たいていの場合、作業区分とほぼ一致する形になるだろう。責任区分別に原価部門を設定し、原価部門ごとに原価管理をおこなう。通常の受験簿記では、修繕部門や組立部門といったように機能的・責任的な区分が行われて予算設定も原価部門ごとに行われているが、この原価部門のおこなう原価管理で予算差異が発生した場合には「組立部部長」などの管理責任が問われることになる。おそらく実際にはこの管理会計的な目的、つまり原価管理のほうが重要で、部門別原価計算を実施したからといって製品原価の正確な計算ができるとは限らない。活動基準原価計算のように「活動を重視」した原価管理というのもあるが、おそらく製品原価の正確な計算のためにも部門別原価計算は実際には副次的な目的ということになるだろう。

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